レイアウトの基本5:レイアウトの考え方(動作・導線)

家具のレイアウトをする際に多くの方がやられるのは、「まず大きなモノからだな。となると、リビングは・・・ソファ。ソファは、こっち向きかな、それとも・・・」といった感じでしょう。
置くモノが少ない場合は大丈夫ですが、3つ4つとなってくると、4つ目を置く時に都合が悪くなると、一旦決めた1つ目~3つ目までもまた置き直しになってしまい何度も同じループを繰り返すことになってしまいます。

 

ポイントは、置くべき家具を俯瞰すること。つまり、一度に全部視界の中に入れて考えた上で、優先順位を持って決めていくことです。
ゾーニングをされていれば、そのエリアでどんな活動をするかが書かれていますから、必要な家具が何かはすぐわかると思います。この時に、「実は足りない家具がある」とか「この家具の行き先が無い」(つまり不要)などの話もできるでしょう。

 

それぞれのゾーンに置きたい家具の縮尺を合わせた紙の切り抜きを作ってとりあえず全部置きましょう(PCで3Dのシミュレーターがあればもっといいですね)。
切り抜きが面倒な方は、ベースとなる紙は目の細かい方眼紙を使って、部屋の形はボールペンで書き、鉛筆で薄く家具の形を描いても良いですが、何回も書き直す事になるので1つのゾーンに3つ以上家具を置く場合は
切り抜きましょう。急がば廻れ。それに、紙を切ったりするのって小学校以来で結構童心に返って楽しめたりして(^o^)

 

とりあえず置くときに、ゾーニングの第2回で考えた、“コンセプトを意識した視線計画”を思い出してください。ここで、基本的な着座の向きなどを想定しながら一旦置きます。

さぁ、これからが配置のポイントです。注意すべき事は、次の3つです。
(1)動作・動線
(2)視線
(3)エアポケット

(1)の動作・動線は、皆さんがすぐ考えるところでインテリアの本などでも良く言われているので簡単だと思います。一般には動線の話が中心にされる事が多いですが、まずは、動作空間の確保が優先です。確かに、スムーズに短い距離で行ける事も重要ですが、もっと重要なのは、その空間で行っている活動がスムーズに行われること。

 

移動している時間よりも活動している時間の方が圧倒的に長いわけですから動線を確保した結果動作空間をちょっと我慢した、なんていうのは本末転倒です。また、動線の長さを気にしている方も時々見られますが大きな家に住んで、大きな家具がいくつもあるお家に住んでいる場合はともかく、一般的な日本の家では、あまり優先順位の高い問題ではありません。
2人以上で暮らしている場合は、むしろ動作空間と動線の被りを気にした方が良いでしょう。つまり、何か作業をするとか動きがある空間を横切るような配置をしないようにするということです。これらを意識しながら、動作空間と動線を決めます。

 

動作空間に必要な広さは、何をするかで変わってきますが実際に動いてみて決めるのが一番です。必ずしも余裕をもってとるのが良いとは限りません。モノをとったりするには、近い方が良い事もありますから「ここはゆったりめ、ここの距離は近くに」とメリハリをつけていきましょう。特に収納の前は要注意。扉の仕様や引き出しの深さによって、立つ位置や動作空間が変わってきます。

 

動線となる通路の幅は、平均的には55cm~60cmと言われていますが、これは意外と狭い幅です。すれ違う事が多くなりそうなら、倍のスペースが必要ですね。この時注意したいのは、肘から肩の高さでの幅。人は、そこの位置で圧迫感を感じます。ソファやダイニングテーブルなどなら良いですが背の高い収納や、ハイバックチェアの横を通る動線なら少し広めにとりましょう。また、家族の体型も考慮して、調整して考えましょう。大きな男性のゾーンや大きなモノの収納は入口近く、細い女性のゾーンや小さなモノ・軽いモノは奥にしておくと通路の確保はしやすくなりますよ。まさに大奥(^_^;)